2016.03.25

シングルノードのSpark R performance

こんにちは、次世代システム研究室のA.Zです。現在、広告のデータ解析プロジェクトに関わっています。
これから、このプロジェクトで採用するかどうか判断するために、sparkRのperformanceを調査しました。その際に分かった特徴・欠点などを紹介します。

 

SparkRについて

SparkRはR から、apache sparkを利用するためのR packageです。
SparkRはUC Berkleyのamplabが開発したものです。2015年4月から、こちらのプロジェクトは正式にapache sparkに統合されました。

SparkRのarchitectureは以下です。

図 1

 

 

現在SparkRが提供しているAPIは以下です:

  • Spark Data frame API
  • 一部SparkのMLLibの連携API

Performance検証

検証目的

今回の検証は主に以下のことを確認します。

  •  SparkRの実行時間増加とデータ量のパフォーマンスの劣化があるかどうかを確認する
  •  データ量の増加による、sparkの効果(実行時間)を確認する
  •  データ量の増加による、R側の学習時間を確認する
  •  データ量の増加による、R側の推定時間を確認する

検証環境

[table id=8 /]

 

データ概要

今回使ったデータは、米国の飛行機の遅延データ(2007-2006)です。

http://stat-computing.org/dataexpo/2009/the-data.html

各データセットの情報は以下の通りです。

[table id=11 /]

各データセットは以下の割合で、学習データとテストデータに分けます。

学習データ:80%
テストデータ:20%

 

Feature Selection

今回は以下のfeatureとfeatureのデータタイプを利用します。

[table id=9 /]

今回は以下のcategoricalデータに対して、上位25のカテゴリだけを選択します。26番目以下のcategoryはすべて一つの特定カテゴリにまとめます。

  • Origin
  • Dest
  • UniqueCarrier

Random Forest 検証

今回の検証で、RのrandomForestパッケージを利用します。

randomForest(CRAN)

具体的な処理は以下の流れで行います。

all-process

図 2

 

 

今回のテストコードは以下に公開します。

テストコード

 

各実行フェーズの実行時間の比較

各フェーズの実行時間のグラフは以下になります。

[table id=10 /]

random-forest-result

図 3

 

データ量と実行時間の比率(以下のグラフ)を計算すると、データ量の増加と共にパフォーマンスが劣化していることが分かります。

RF-data-execution-time-comparison

図 4

 

 

一方、データ加工(Pre-process)はデータ量の増加と共にパフォーマンスが向上していることが分かります。

RF-data-preprocess-comparison

図 5

 

次は、どこのフェーズで、bottleneckが発生するか、もっと詳しく調査します。

 

各実行フェーズの実行時間と全体実行時間の割合の比較

RF-percentage

図 6

 

以上のグラフから、データが増加すると、データ加工(Pre-process)フェーズの割合が減ることが分かりました。データ加工の処理はすべてSparkで行うので、データ量が増えるとSparkの効果も見えてきます(図 5)。

一方、データの増加により、学習(Training)のフェーズの割合はますます増えました。学習フェーズがすべてRで行い、Rがsingle threadで動くので、Bottleneckが発生すると思われます。さらに、R で解析モデルを学習する、直接Sparkのdata frameを利用できないため、Sparkのdata frameはR のdata frameに変換することが必要です。R のdata frameはすべてmemoryにロードされるので、大量なデータのdeserializeの処理が一つの原因ではないかと思います。

推定(Prediction)フェーズは実行時間の割合が安定しており、全体の1%以下になりました。

 

結論

  • データ量が増加すると、SparkRのパフォーマンスは劣化しました。
  • データ量が増加すると、Spark上のデータ加工のパフォーマンスが向上しました。
  • データ量が増加しても、R側の推定時間は安定していました(全体の1%以下)。
  • データ量が増加すると、R側のモデル学習のパフォーマンスは劣化しました。

最後に

SparkRを検証した結果、まだR data frameとSpark dataframeの不適合があり、その結果変換処理のoverheadが発生します。また、Rのdata frameに変換するときに、すべてのデータをメモリーにロードしなければならないため、大量なメモリーが必要です。もしこちらの問題が解決できたら、Rのモデルやパッケージの豊さとSparkの分散処理スピードを生かし、大規模なデータ解析はもっと簡単にできるではないかと思います。

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