2015.03.10

Android 5.0におけるBLE について – 受信編 –

こんにちは。次世代システム研究室のT.M. です。

はじめに

Android 4.3 からBLE (Bluetooth Low Energy) を用いてデータを受信することができるようになりました。このBLE の規格の一つとしてiBeacon があり、GMO チェックインで利用しております。Android 5.0 からはBLE で送受信できるようになり、BLE を扱うパッケージ (android.bluetooth.le) が導入されました。それに伴い、既存の受信実装が非推奨になりましたので、新実装を旧実装と比較しながら紹介していきたいと思います。

BLE のためのパーミッション

新旧実装方法ともにBluetooth のパーミッションの宣言が必要です。
    <uses-permission android:name="android.permission.BLUETOOTH" />
    <uses-permission android:name="android.permission.BLUETOOTH_ADMIN" />

BLE スキャンのコールバック

  • 旧実装方法
    android.bluetooth.BluetoothAdapter.LeScanCallback クラスを利用します。コールバックメソッドは onLeScan(BluetoothDevice device, int rssi, byte[] scanRecord) です。引数のscanRecord に、BLE で受信したデータが渡されています。iBeacon では、scanRecord の10 から25 バイト目が iBeacon のUUID を、26、 27 バイト目がMajorを、28、29 バイト目がMinor を示しています。以下では、iBeacon のUUID、Major、Minor をログに表示しております(ただし、16 進数表示への変換はしておりません)。
    private LeScanCallback mLeScanCallback = new BluetoothAdapter.LeScanCallback() {
    		@Override
    		public void onLeScan(BluetoothDevice device, int rssi, byte[] scanRecord) {
    			byte[] msg_bytes = scanRecord;
    			String msg = "";
    			for (int i = 9; i < msg_bytes.length; i++) {
    				msg += Byte.toString(msg_bytes[i]) + " ";
    			}
    			Log.d("ibeacon msg", msg);
    		}
    };
    
  • 新実装方法
    android.bluetooth.le.ScanCallback クラスを利用します。コールバックメソッドは3 種類ありますが、基本的には onScanResult(int callbackType, ScanResult result) です。result に、BLE で受信した結果オブジェクトが渡されております。
    result.getScanRecord() で、BLE で受信したデータオブジェクトを取得することができます。iBeacon のManufacturerId が76 であるため、getManufacturerSpecificData(int ManufacturerId) を利用することでiBeacon に関するデータを取得することができます。このデータのうち、3 バイト目からUUID の情報が記述されております。今回の変更では、BLE に関して扱いやすくはなりましたが、iBeacon のデータ取得では、旧実装方法と同様にバイト列を変換する必要があります。以下では、先ほどと同様にiBeacon に関するデータをログに表示しております。
    private ScanCallback mScanCallback = new ScanCallback() {
    
    		public void onBatchScanResults(List<ScanResult> results) {
    		};
    
    		public void onScanFailed(int errorCode) {
    		};
    
                    // 通常このメソッドがコールバックされます
    		public void onScanResult(int callbackType, ScanResult result) {
    			byte[] msg_bytes = result.getScanRecord().getManufacturerSpecificData(76);
                 if (msg_bytes == null) return;
    			String msg = &quot;&quot;;
    			for (int i = 2; i &lt; msg_bytes.length; i++) {
    				msg += Byte.toString(msg_bytes[i]) + &quot; &quot;;
    			}
    			Log.d(&quot;ibeacon msg&quot;, msg);
    		};
    };
    

BLE のスキャン開始

  • 旧実装方法
    android.bluetooth.BluetoothAdapter.startLeScan(LeScanCallback callback) でBLE のスキャンを開始します。
    // Bluetooth Adapter の取得
    BluetoothManager bluetoothManager = (BluetoothManager) getSystemService(Context.BLUETOOTH_SERVICE);
    BluetoothAdapter mBluetoothAdapter = bluetoothManager.getAdapter();
    // BLE のスキャン開始
    mBluetoothAdapter.startLeScan(mLeScanCallback);
    
  • 新実装方法
    android.bluetooth.le.BluetootLeScanner.startScan(ScanCallback callback) でBLE のスキャンを開始します。
    // BLE Scanner の取得
    BluetoothManager mbluetoothManager = (BluetoothManager) getSystemService(Context.BLUETOOTH_SERVICE);
    BluetoothAdapter mBluetoothAdapter = mbluetoothManager.getAdapter();
    BluetoothLeScanner mBluetoothLeScanner = mBluetoothAdapter.getBluetoothLeScanner();
    // BLE のスキャン開始
    mBluetoothLeScanner.startScan(mScanCallback);
    

新しく追加されたオプション

ここまではBLE の受信の違いを比較してきましたが、Android 5.0 からBLE のフィルタリングオプションおよびスキャンモードの設定ができるようになりましたので、紹介します。ScanFilter.Builder において、サービスUUID (iBeacon のUUID とは異なる) などを設定することで、特定のBLE のみ受信する事ができます。ScanSettingBuiler において、BLE のスキャンモードを指定することができます。指定できるモードは、低遅延モード (SCAN_MODE_LOW_LATENCY)、低消費電力モード (SCAN_MODE_LOW_POWER)、バランスモード (SCAN_MODE_BALANCED) があります。以下では、低遅延モードでスキャンをしています。
// (何もフィルタリングしない) スキャンフィルタの作成
List<ScanFilter> mScanFilters = new ArrayList<ScanFilter>();
// スキャンモードの作成 
ScanSettings.Builder mScanSettingBuiler = new ScanSettings.Builder();
mScanSettingBuiler.setScanMode(android.bluetooth.le.ScanSettings.SCAN_MODE_LOW_LATENCY);
ScanSettings mScanSettings = mScanSettingBuiler.build();
// 作成したスキャンフィルタとモードでスキャン開始
mBluetoothLeScanner.startScan(mScanFilters, mScanSettings, mScanCallback);
実際に、各スキャンモードを指定して、スキャンの間隔を調べてみました。Nexus6 を利用し、各モードで1 分間スキャンを行い、コールバックが返ってくる間隔を計測しました。低遅延モードでは、約100 ms ごとにコールバックが返ってきたので、常にスキャンをしているということが推測されます。また、スキャンモードの指定なし、および低消費電力モードでは、約400 ms のスキャンと約4,600 ms の休みの繰り返しが行われていました。バランスモードでは、約 2,000 ms のスキャンと約 3,000 ms の休みの繰り返しが行われていました。このように、スキャンの消費電力を下げるためには、旧実装方法では、アプリ開発者が定期的にスキャン開始、停止を実行する必要がありましたが、オプションで指定するだけで、同様のことができるようになりました。

さいごに

以上のようにBLE を受信する方法が変更しております。Android 5.0 からは旧実装方法では実行できない、といった情報を見かけましたが、実際私の端末 (Nexus6, Android 5.0.1) で、実行することができました。(ただし、Nexus7 の一部端末ではハードウェアが対応していないため、すべてのAndroid 5.0 以上の端末でBLE が利用可能というわけではありません。) つまり、旧実装方法が利用不可能になったわけではないため、現在、旧実装方法を行っているサービスはしばらくは変更の必要がないと思います。
次回はAndroid 5.0 から可能になった、BLE の送信について実装方法を紹介していきたいと思います。

参考

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