2015.03.10

オフショア開発におけるソースレビュー事例の紹介

はじめに

こんにちは。次世代システム研究室のT.D.Qです。
ソースレビューには品質保証と開発者の教育という2つの理由について、前のエントリーにまとめてみました。
今回、次世代システム研究室でGitlabによるオフショア開発におけるソースレビューの事例を紹介したいと思います。
※GitLabとは、GitHubのようなサービスを社内などのクローズドな環境に独自で構築できるように公開されたオープンソースです。

オフショア開発のソースレビューの特徴

オフショア開発のソースレビューは以下の特徴が挙がられます
1. オンラインコードレビュー
2. 非同期レビュー
3. レビュー回数が多い(コミュニケーション不足、異文化などで仕様の誤解が多いため)

日本とオフショア先(インド、中国、ベトナムなど)は場所と時差のため、 伝統的レビューミーティングはなかなか難しいと思います。
次世代システム研究室でGitlabでマージリクエストを使うことで、オンラインでエンジニアは非同期でレビューをリクエストできます。
レビューアーが自然な中断状態にある時に、より効果的なフィードバックを提供しやすくなります。また、オフショア側は、口頭より文章(コメント、コード)で問題を理解しやくなるので、レビューするとき、良い例、悪い例のコードをGitlabのマージリクエストに貼付けて説明すれば、何が悪いのか、理解しやすくなると思います。レビュー後、指摘された問題や解決方法をノウハウとしてwikiに保存できます。

レビューの流れ

Gitlabでは、マージリクエスト単位でレビューすることになります。以下の流れはGitlabによるソースレビュー開始から終了までの流れです

Step 1. ソースレビュー依頼の作成

開発者は実装したソースコードをGitlabへPushします。Gitlab上でマージリクエスト作成する同時に、レビューアーをアサインします。Gitlabのアカウント作成をしておけば、メールでソースレビュー依頼を通知します。

merge_requests_1_edit

+Assign To:レビューアーを指定する
+ Milestone:プロジェクトのゴールです。Milestoneの期日と名称を設定し、期限まで解決しないといけない問題(Issues)を管理することで、オフショア開発チーム全員のゴールを明確になるので、 Milestoneを設定しましょう。
+Labels: Gitlabのラベルによるレビューのステータス及び優先度を設定でいます。以下の図で、レビューステータスをまとめて見ました
Status

レビューのステータスは、以下の5状態があると思います
  • レビュー待ち: マージリクエストをレビュー可能になっているが、レビューアーはまだ未着手の状態
  • レビュー中: レビューアーがマージリクエストをレビューしている状態
  • キャンセル: マージリクエストが承認されず、クローズされた状態
  • 確認待ち: レビューアーがレビューしたが、問題点や確認事項があるため、マージリクエストを未承認の状態
  • 終了: レビューアーがレビューを確認した後、マージリクエストを承認した状態

Step 2. ソースレビュー依頼確認

レビューアーは、Gitlabにアクセスし、ソースレビューを確認します。
create_merge_requests
次は、マージリクエストの編集機能でレビューステータスを更新します
merge_requests_under_review

Step 3.レビュー結果登録

レビューアーは、ソースコードをレビューし、結果(コメント)をGitlabに登録します。レビュー結果をレビュー依頼者(開発者)にメールで通知します。
Gitlabで変更履歴・差分を確認できます。インライン表示と左右に並べて表示を選択し、差分を確認できます。
merge_requests_1_inline_diffs merge_requests_1_diffs_parallel
コミットしたソースコードの差分に対して、Gitlabのマージリクエスト上からコメントを付けることができます。ソースレビューを実施する際、該当箇所に指摘を記述したり、回覧レビューを実施する際には、レビューアーに指摘をコメントとして残してもらったりすることができます。

Issues機能によるタスク管理

ソースレビューを行うとき、GitlabのIssues機能を使うことで、発見した課題を登録し、担当者の割当や課題解決後にクローズすることが出来ます。以下は、登録したIssuesのひとつです。
tokup-android_issues

Step 4.レビュー結果確認

レビュー依頼者はレビュー結果をGitlabで確認し、レビューアーが指摘された項目ごとを回答します。ソース修正する必要の場合、マージ元のブランチに修正して再度GitlabへPushします。最新ソースコードは、マージリクエストに自動的に反映されます。
ソースを確認し、問題なければ、マージリクエストを承認します。次のレビューアーにアサインする必要の場合は、コメントに「:+1:」を入力することで、自分のレビューが問題なく終了したことを明確にします。
merge_requests_close_issue_in_comment

Step 5.レビュー終了

レビューでOKの場合、最終レビューアーがマージリクエストを承認し、ソースレビューを閉じます。マージ元のブランチが残ってもあまり意味が無いので、「Remove source branch」をチェックして削除することをお勧めです。オフショア開発に手戻りが発生したときは、同じブランチ名を切って同じマージリクエストを作り直しても問題ないでしょう。
merge_requests_finish

レビューに関連するissueがあれば、クローズします。

closed_issues

今後のために、レビューで得たベストプラクティス(レビューのガイドライン、チェックリストなど)をGitlabのwikiに残りましょう。
ここまで、レビューが終了となります。

終わりに

以上、Gitlabによるオフショア開発のソースレビューの事例を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。Gitlabを利用することにより、オフショア開発における場所、時差とコミュニケーション問題をオンラインで、非同期レビューを解決できるようになります。また、品質のレベルをオフショア開発チームに伝えるのは難しいところもあり、オフショア開発チームにレビューを行う文化を築くことが大切だと思います。

参考URL

1. Code review guidelines
2. OWASP CODE REVIEW GUIDE
3. Effective Code Reviews Without the Pain
4. GitLab Flavored Markdown

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