2016.05.13
Instant Run におけるActiveAndroid のエラー原因とその対応策
こんにちは、次世代システム研究室T.M です。
先日、Android Studio 2.0 のstable が発表されました。昨年末にpreview が発表された時、Instant Run が話題になり、私もとりあえずInstant Run を体験したくて、インストールし利用してみたところ、アプリの実行に時間がかからないことに感動しました。しかし、業務で開発する上でpreview というのは手を出しにくく、この数ヶ月の間、1 回のビルドに3分ほどかかるアプリの開発に耐えてきました。ついに、stable が出たということで、早速2.0 をインストールし、いままでは3 分ほどかかったアプリのビルドを行いました。
Instant Run の実行
1回目の実行では、アプリをビルドする必要があり、いつも通り、つまり3 分程度ビルドに時間がかかりました。時間がかかるのはしかたがないのですが、ここで一つ問題が発生しました。それは、ビルドが終わり、アプリが立ち上がったところで、クラッシュしました。下記のエラーログが吐き出され、アプリに利用しているDB のライブラリである、ActiveAndroid 周りでエラーが起きているのが確認できました。
Process: xxx.xxx.xxx.debug, PID: 10812 java.lang.RuntimeException: Unable to start activity ComponentInfo{xxx.xxx.xxx.debug/xxx.xxx.xxx.xxx.xxx.XXXActivity}: java.lang.NullPointerException: Attempt to invoke virtual method 'java.lang.String com.activeandroid.TableInfo.getTableName()' on a null object reference at android.app.ActivityThread.performLaunchActivity(ActivityThread.java:2416) at android.app.ActivityThread.handleLaunchActivity(ActivityThread.java:2476) at android.app.ActivityThread.-wrap11(ActivityThread.java) at android.app.ActivityThread$H.handleMessage(ActivityThread.java:1344) at android.os.Handler.dispatchMessage(Handler.java:102) at android.os.Looper.loop(Looper.java:148) at android.app.ActivityThread.main(ActivityThread.java:5417) at java.lang.reflect.Method.invoke(Native Method) at com.android.internal.os.ZygoteInit$MethodAndArgsCaller.run(ZygoteInit.java:726) at com.android.internal.os.ZygoteInit.main(ZygoteInit.java:616) Caused by: java.lang.NullPointerException: Attempt to invoke virtual method 'java.lang.String com.activeandroid.TableInfo.getTableName()' on a null object reference at com.activeandroid.Cache.getTableName(Cache.java:156) at com.activeandroid.query.From.addFrom(From.java:169) at com.activeandroid.query.From.toSql(From.java:250) at com.activeandroid.query.From.executeSingle(From.java:311) at xxx.xxx.xxx.xxx.xxx.xxx.xxx(Xxx.java:xx) at xxx.xxx.xxx.xxx.xxx.xxx.xxx(Xxx.java:xx) at xxx.xxx.xxx.xxx.xxx.xxx.xxx(Xxx.java:xx) at android.app.Instrumentation.callActivityOnCreate(Instrumentation.java:1107) at android.app.ActivityThread.performLaunchActivity(ActivityThread.java:2369) at android.app.ActivityThread.handleLaunchActivity(ActivityThread.java:2476)? at android.app.ActivityThread.-wrap11(ActivityThread.java)? at android.app.ActivityThread$H.handleMessage(ActivityThread.java:1344)? at android.os.Handler.dispatchMessage(Handler.java:102)? at android.os.Looper.loop(Looper.java:148)? at android.app.ActivityThread.main(ActivityThread.java:5417)? at java.lang.reflect.Method.invoke(Native Method)? at com.android.internal.os.ZygoteInit$MethodAndArgsCaller.run(ZygoteInit.java:726)? at com.android.internal.os.ZygoteInit.main(ZygoteInit.java:616)?
エラー調査
Android Studio 1.5 では、正常にビルドでき、アプリを実行することができます。そこで、エラーを調査するため、Android Studio 1.5と2.0 の両方でデバッグし、変数の値が異なる部分を探しました。そうして見つけたのが、ModelInfo.java のscanForModel というメソッドです。下図の上が1.5、下が2.0 の変数表示です。
ActiveAndroid ではModel クラスを継承しているクラスをテーブルとするため、dex ファイルにある全てのクラスを検査して、テーブルとしています。しかし、該当の箇所でのフィールドの値を見ると、1.5 ではすべてのクラスが入っており、配列の大きさが7,000 弱となっている一方、2.0 では、31 個のクラスしか入っておらず、しかもテーブルと関係のないクラスしかありませんでした。そのため、テーブルを定義することができず、テーブル名を取得する部分でnull になってしまったようです。つまり、1.5 と2.0 でdex ファイルの中身が異なるため、エラーが発生したものと考えられます。
そこで、dex ファイルを確認するため、Android Studio 2.0 でビルドしたapk を展開したところ、以下の様なファイルがありました。
ちなみに、今までは以下の様なファイルでした。
instant-run.zip というファイルが増えており、classes.dex のファイルサイズが小さくなっていました。instant-run.zip を展開すると中には、多数のdex ファイルがありました。名前から明らかにInstant Run のためのものであり、Instant Run のためにdex ファイルの構造が変わっており、エラーが発生したと推測できます。そこで、Android Studio 2.0 でInstant Run をオフにしたところ、正常にビルドでき、アプリを実行することができました。このことから、Instant Run のせいでアプリが実行できないことが確認できました。
従来のビルドでは、単一のdex ファイルにまとめるため、ソースコードの小さな変更であったとしても、すべてをビルドし直していましたが、Instant Run ではdex ファイルを複数に分割することで、変更のあった箇所のみの最低限のビルドを行い、掛かる時間を短縮しています。そのため、dex ファイルの構造が変わり、dex ファイルを直接見ているActiveAnroid でエラーが発生しました。
対応策
Instant Run を使わなければ、正常にアプリを実行することができますが、開発においてInstant Run がなければ、とても非効率であり、使わないという選択はできれば取りたくありません。むしろ、ActiveAndroid を使わないという方が良いように思います。最近のAndroid のORM のライブラリはActiveAndroid より優れていると言われているものが多々あり、わざわざActiveAndroid を利用する必要がないのではないでしょうか。しかし、既存のアプリでActiveAndroid を利用していると、変更することが難しく、そのまま使い続けなければいけません。そのような場合、AndroidManifest でAA_DB_NAME やAA_DB_VERSION のようにAA_MODELS でModel を継承したクラスを記述することで、Instant Run でも正常にテーブルを定義することができ、数秒でビルドをすることができ、アプリを実行することができます。
<meta-data android:name="AA_MODELS" android:value="xxx.xxx.xxx.Xxx, xxx.xxx.xxx.Xxx, xxx.xxx.xxx.Xxx" />
さいごに
Instant Run のおかげで、今まで3 分ほどかかっていたビルドが数秒で終わるようになり、とても効率よく開発ができるようになりました。Instant Run によりdex ファイルの構造が変わりましたが、一般的な開発ではdex ファイルを触る機会がないかと思いますので、特に問題ないかと思います。ライブラリでもdex ファイルを操作しているものは多くはないと予想しますが、もしAndroid Studio 2.0 にアップグレードしてアプリが実行できなくなった場合、Instant Run を疑ったらよいかと思います。
参考
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