ベトナムオフショア組織 -問題と改善対応編-
こんにちは。次世代システム研究室のT.Kです。
以前より、こちらのブログにて取り上げさせて頂いているGMOベトナムラボセンターですが、今年で設立3年目を迎えメンバーも2015年7月時点で10名を超える組織となりました。(パチパチパチ)
設立当時は、『仕様』を伝える段階から問題が多発していましたが、最近では『ざっくり仕様をチケットに記述』するレベルでアウトプットが出せる体制にまで成長し、とても大きな戦力となって来ています。
2015年に入り、GMOベトナムラボセンターに対して振り返るキッカケを頂いた事で、外部勉強会や日本側関係者・ベトナム側メンバーからのヒヤリングで多くの問題が山積している状況に気が付く事が出来ました。
各問題をカテゴリに分類した一覧が下記になります。
- GMOインターネットグループ全体の状況が共有出来ていない
- GMOベトナムラボセンターとしての将来のビジョンが共有出来ていない
- マルチタスクの常態化
- 各個人の日本語学習状況が見えない
- 組織文化が無い
- ハノイ、ホーチミン、日本とメンバーが3拠点に分散している事による、組織力低下
- 柔軟な人材交流が出来ていない
- 日本側メンバーの出張価値低下
- メンバーの長期来日によるストレス増加
- やりがいのある業務
- 権限委譲
- メンバーからの改善要望ヒヤリング体制 ※ベトナムでは入社後1年後~2年後が危険との事
- ホーチミン採用
- 日本側運用負荷増大
情報共有系
現状取組改善系
新規取組系
長く働ける環境作り対策系
その他
情報共有
- 情報共有系 – GMOインターネットグループ全体の状況が共有出来ていない
- 情報共有系 – GMOベトナムラボセンターとしての将来のビジョンが共有出来ていない
- 現在の組織の状況
- 5年後までの年間目標の共有
- GMOインターネットグループ全体の状況共有
- 直近1年~2年のビジョンには興味を持たれた
- GMOインターネットグループ全体の状況、業務内容や規模に大きな興味があるように感じた
- GMOインターネットグループ会社でも、他業種の数値にはあまり興味を持たれなかった ※こちら、継続的に行う事で効果が現れる対策と考えています
解決課題
実施内容
実施結果
考察
-
ベトナムのエンジニア達はベトナム最大手のFPT社を比較対象としてイメージされるようです。
GMOインターネットグループに関する情報共有した事は、各人でベトナム最大手企業とGMOインターネットグループと比較する機会となり、結果として安心感に繋がったようです。
社員数や売上金額、世界各地の拠点数等がわかりやすい数値として、よく響くようでした。
現在は新しいメンバーが多い為、効果が見えにくい部分もありますが、定期的な情報共有を行う事は、メンバーの不安を払拭し、長く働ける環境作りに繋がる事だと考えています。
現状取組改善
- 現状取組改善系 – マルチタスクの常態化
- 現状取組改善系 – 各個人の日本語学習状況が見えない
- GMOベトナムラボセンターでは、次世代システム研究室と同様に『研究課題』対応を、全メンバーが通常業務の合間時間で対応
- 日本語力向上対応に関しては、外部日本語学校へ行ったり、個人学習
- 『研究課題』は『全メンバー』から、『手を上げたメンバー』へ変更
- 『研究課題』対応者には、対応時間を所属PJリーダーと調整し、対応時間を用意 ⇒本人任せにしない
- 『日本語力向上』に関しては、ザックリとした勉強スケジュールを作成し、そのスケジュールに沿って学習を進めて行く体制に変更
- 『手を上げたメンバー』が『研究課題』を行う事で、高いモチベーションで対応が出来ている
- 運営側で時間をある程度確保できる様に調整する事で、メンバーの負荷軽減
- 日本語学習スケジュールを作成する事で学習状況・各メンバーの日本語力が詳細把握が可能になった
- 外部テストに比べ定量的な評価が出来なくなった
解決課題
対応前の状況
-
『研究課題』:興味がある事、新しい技術、業務に関連する技術等からトピックを選択し、調査・検証等を行い、四半期末に社内で発表
※次世代システム研究室の研究課題はこちら
実施内容
実施経過
考察
-
実施回数が1回である為、ベストには程遠い状況ではありますが、負荷軽減や各人のモチベーション等から、以前よりは改善されていると感じています。
メンバー側も負荷と感じていた事があり、改善を行っている事で好意的に受け止めて貰えています。
第一弾新規取組 -文化作り-
- 新規取組系 – 組織文化が無い
- 新規取組系 – ハノイ、ホーチミン、日本とメンバーが3拠点に分散している事による、組織力低下
- 新規取組系 – 柔軟な人材交流が出来ていない
- 新規取組系 – 日本側メンバーの出張価値低下
- 新規取組系 – メンバーの長期来日によるストレス増加
- プログラミング大会開催し、大会を通して、“技術力が高い人はすごい”と思われる文化作り
- 文化定着の為、四半期に2回程度開催
- 次研メンバーも出来る限り現地参加
- 年1回全ラボメンバーが1拠点に集合し、大会に参加
- ベトナムラボの文化作り
- 拠点間コミュニケーションの向上
- 長期来日中メンバーのストレス軽減
- 次研メンバー出張価値向上
- 柔軟な人材交流体制構築
解決課題
実施内容
2015年10月中旬頃 実施予定
期待効果
考察
-
組織の文化作りに便乗して、諸々の問題点解決策を盛り込んだ施策として、2015年10月より実施する予定の取組になります。
現在、次世代システム研究室では、約1年程度を目処にGMOベトナムラボセンターからの研修生を受け入れていますが、来日後は帰国時期まで一度も帰国しないケースが多く、来日メンバーの心の強さに任せていた部分をケアする取組が出来た事は良かったと考えています。
第一弾長く働ける環境作り対策 -権限委譲-
- 長く働ける環境作り対策系 – 権限委譲
- その他 – 日本側運用負荷増大
- 事前にベトナムラボ内から3名のリーダーを任命
- 採用時の書類審査及び一次面接を行う
- 日本側から直接見えない日本語が出来ないメンバーの目標設定と評価を行う
- 残業申請の一次承認を行い、ベトナム側で残業可否を判断
- 運営業務等を現地リーダーとして主体的に担当
- HP改善
- オフィスレイアウト改善
- どのように変更したいか
- 変更する事によるメリット
- 変更のために必要になる費用算出
- 実際の改善対応
- 改善後の報告
- 直接採用に関わる事で、入社後のミスマッチリスクが軽減した
- 提案から調整、承認、実施までの流れを経験する事で、今後は任せられる下地を作る事が出来た
- 日本側の運営コスト軽減
- 現地リーダの育成・成長
- リーダー陣の負荷増大
解決課題
前提
実施内容
実施結果
考察
-
こちらの取組はベトナムグループ会社の役員から『責任ある仕事を任せる』事がベトナムメンバーのモチベーションアップには効果的だと聞いた事がこの取組のキッカケになりました。
また、DeNAの南場さんも同様の事を仰られている事も気持ちを後押しする要因となりました。
会社の資産は人だけ。優秀な人材をつなぎとめるカギは徹底した権限委譲」という。そして、その会社で働く理由は人それぞれで、技術が好きな人、アイデアを実現したい人、社風が好きな人。「そのような多様な個々人が、自分がこの会社の最後のとりでだという意識を持つ。そうすれば全員が球の表面積を担うことになる。面積(会社の規模)は小さくても表に変わりはない引用元:http://www.cvg-nikkan.jp/kigyo/chikara003
一気に色々な事をベトナム側に任せてしまう事はリスクが高い為、暫くは日本側と連絡を密に取り、1つ1つベトナム側に作業を委譲していく予定です。
第二弾長く働ける環境作り対策 -アンケート-
- 長く働ける環境作り対策系 – メンバーからの改善要望ヒヤリング体制
- アンケートの実施
解決課題
実施内容
実施結果
考察
-
メンバー全員にアンケートを取る事で、組織として改善点と優先順位がハッキリした事は最大の成果だったと感じています。
今回の結果から、効率的且つ効果的な対応が出来ると考えています。
第二弾以降 新規取組 -福利厚生 & 人材交流等-
- 長く働ける環境作りに対する対応
- アンケート結果からの改善点
- GMOインターネットグループとして検討の上で導入されている制度(https://www.gmo.jp/info/support/)であり、導入前例がある為、比較的導入しやすい
- 技術関連の書籍や最新ガジェットの購入、開発合宿への参加費などを補助するスキルアップ支援制度
- 技術本等の購入に関して限度額を設けて対応
- 2015年は仮運用。2016年から正式運用開始
- 今まで活かせなかったエンジニア・クリエイターの、サービスへ注がれる目線を利用側になることで生まれる愛着と、技術力・開発能力向上との相乗効果を目指した制度
- 承認制で対応
- 2016年から運用開始予定
- エンジニア・クリエイターのみなさんに、意欲と技術探究心を高めるためのチャンスを活かしてもらえるよう、勉強会やセミナーへ参加してもらう制度
- 承認制で対応
-
セミナー費用に関して限度額を設けてサポート。移動・宿泊費は対象外
ブログ等にまとめて、組織内に共有 - 2016年から運用開始予定
- 長時間パソコンに向かって開発作業をするエンジニア・クリエイター自身が自分に合った椅子を選べる制度
- 購入条件
- GMOインターネットグループ会社と比較し品質が劣る
- 破損している
- 健康に悪影響がある
- 2016年から運用開始予定
- GMOインターネットグループ会社と同様の制度を導入する事で、福利厚生に関する満足度の向上
- 日本本社と同様の制度導入し、日系企業色をアピール出来る
- 組織としての文化作り
- メンバーのモチベーション向上
- 必要に応じて1ヶ月~半年程度来日する
- 本人の希望
- 日本語検定試験 N3 程度
- 業務的メリット
- 研究課題において成果を出す(※ご褒美的意味合い)
- 日本語検定N1に合格(※ご褒美的意味合い)
- 大学卒業者でないとビザが出にくい
- ⇒基本情報技術者で代用可能 参考サイト:http://www.visainfo.jp/etc/engin.shtml
- 業務遂行効率化
- メンバーのモチベーション向上(特に来日未経験メンバー)
- 日越メンバー交流
解決課題
実施内容
GMOすごいエンジニア支援制度ベトナムラボ版導入について
説明
導入制度
学ぼうぜ
サバろうぜ
セミろうぜ
椅子ろうぜ
期待効果
「エンジニア実績システム」を導入を検討
説明
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参考にさせて頂いたブログ:http://developer.hatenastaff.com/entry/2015/07/24/174959
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業務関係、外部イベント系、お遊び系等でクリア課題を設定し、ゲーム感覚で各項目をクリアして、周りから『すごいっ!!』と思われる事でモチベーションアップに繋げる試み
軍人の勲章をイメージして頂くとわかりやすいようです。
導入内容
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ブログの内容をベースに現在検討中
期待効果
短期来日制度について
内容
対象者
必須条件
満たすべき条件(※どれか1つ以上)
備考
期待効果
結果
-
全体的に実施した改善案等はメンバーから好評であり、且つ他にも改善案が進行中である事をメンバーに伝えている事で概ねポジティブな反応を貰えています。
また、改善と言う行動を起こした事で、更なる改善点や問題点がはっきりし、より良い組織への道筋が少し見えてきました。
メンバーからの改善提案等はまだまだ多くはありませんが、積極的にヒヤリングを行う事で、少しずつ要望が聞こえるようになってきている状況です。
ベトナム人の国民性かもしれませんが、比較的不平・不満を我慢してしまうメンバーが多いと感じており、変化のキッカケは外部から与ええる事で良い方向に向かう事が多いようです。
未着手の『長く働ける環境作り対策系 – やりがいのある業務』と『その他 – ホーチミン採用』に関しては次の機会に触れさせて頂きます。
反省
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2015年前半は知らず知らずのうちに、安定志向になっており、改善・変化のマインドを失念している時期があった事は痛恨事でした。
GMOベトナムラボセンター設立から3年程度が経過し、組織としてある程度安定軌道に乗り出した事ですっかりとぬるま湯に浸ってしまっていました。
そんな時、ガツンと背中を押してくれたA.Fさんにはとても感謝しております。
日々改善の意識を忘れる事無く、今後もより良い組織を目指して関係各位と協力して行きますので、宜しくお願いします。
皆様からのたくさんのご応募、お待ちしてます!