2022.07.08

Polygonが提供する分散・自己主権型ID(Polygon ID)で匿名投票を試す

こんにちは。F.S.です。
今回は、6月下旬に公開されたばかりのPolygon IDを取り上げます。
残念ながら現時点ではプラットフォームおよびSDKは公開されてませんが、このIDがどのように機能するのか試してみたいと思います。

1. Polygon IDの特徴

公式ブログの日本語訳から引用します。

  • ブロックチェーンに基づくIDで分散型・自己主権型モデルを実現
  • ゼロ知識証明(ZK)が直接埋め込まれているプロトコルで究極のプライバシーを実現
  • スケーラブルでプライバシーの守られたなオンチェーン検証で、分散型アプリと分散型金融の発展を後押し
  • 既存の規格やエコシステムの開発においてオープンに利用可能

ここでいうブロックチェーンに基づくIDはウォレットに紐づいたIDと考えられます。ゼロ知識証明を使ってID保持者の秘匿情報を開示せずに検証可能な情報を提出することでプライバシーを保護しています。よくある例として、生年月日や年齢を明かさずに成人であることの証明を提出し、検証できる というものがあります。

引用: https://blog.polygon.technology/polygon-id-x-polygon-dao-integration-launches-to-create-new-zk-based-governance-frameworks/

後半の特徴は、IDが持つ主張(Claim)の発行者がオンチェーンに状態を記録することにより、dAppsにて証明を検証することができるということのようです。

引用: https://polygon.technology/polygon-id/

2. Polygon DAOとの統合

公式のブログおよびTwitterで解説されています。

DAOは組織の意思決定を投票で行います。ブロックチェーンベースの投票においては、参加資格が公開ウォレットアドレスに直接紐づいているため匿名投票ができません。Polygon IDをDAOに持ち込むことにより、DAOにおける匿名投票が可能となります。

3. デモ

ツール群がまだ公開されていないので、公式Twitterから案内があったあった投票におけるPolygon IDの適用を試してみます。

投票サイト

3.1. ゴール

Polygon IDを用いて、Grailのロードマップに投票する
※GrailはPolygon IDの公開と共にアルファ版ローンチしたガバナンス・プラットフォーム

3.2.参加条件

「Polygon DAO Membership」の証明ができること

3.3.準備

Polygon DAOメンバー参加

Polygon IDどうこう以前にPolygon DAOメンバーであることが必要とのことで、Polygon DAOへ参加します。

Polygon IDアプリセットアップ

Polygon IDアプリを入手し、Polygon DAO参加時に署名したウォレットをインポートします。

Claim発行

Polygon VerifyでClaimを発行してもらいます。
QRコードスキャンしてPolygon IDを接続した後、ID所有者の検証を進めます。開始するとjumioのeKYCがスタートします。

eKYC完了後にPolygon Verifyから4つのClaim(生年月日、人間であること、 Polygon DAOメンバーであること、居住国)が発行されるので、IDアプリでスキャンして受け取ります。

これでやっとPolygon DAO Membershipの証明を提出できる準備が整いました。

3.4.投票

GrailにてPolygon IDを接続すると、サイト上では仮名が割り当てられ、いかにも匿名という雰囲気です。

投票を送信時にPolygon DAO MembershipのProofが要求されます。

QRを読み込み、アプリでProofを生成します。

GrailでProofの検証が完了すると、投票結果が反映されました。

GrailはClaimの発行者Polygon VerifyをTrustしていることを前提に、Polygon Verifyが発行したClaimから生成されるProofを検証することで、IDが持つ権利を確認できることになります。先のイメージに当てはめると、Identity, Issuer, Verifierは次のようになります。

なお、一連の流れはeKYCプロセスを除いて、Polygon公式のTwitter動画で紹介されていますので参考ください。

4. おわりに

分散・自己主権型IDでどうやってシビル耐性を実現するのか兼ねてから疑問でしたが、eKYCで解決しているのだと理解しました。
オンチェーンにClaimステートが記録されるようですが、Polygon POSだと想像しつつもどこに記録されているか現時点では調べきれていないので、技術情報の公開をもって、追って検証していきたいと思います。
ちなみに、Polygon IDの利用においてはMATICは一切不要でした。

Polygon IDが公開されたばかりということで新しものに飛びついてみましたが、この分野は期待が大きく楽しみですね。


それでは、また。

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