Do Not Track(DNT)について
こんにちは。アドテクエンジニアをしている N.Z です。
今回はDo Not Track(DNT)についての情報を共有します。
Do Not Track (DNT)とは
DNTとはトラッキング防止の技術のひとつで、サイトを訪れるユーザー(オーディエンス)の追跡を停止する機能です。トラッキングは主に広告配信最適化のために行われており、Cookieを使ったトラッキングがWEBサイトでは主流となっています。
DNTの技術的な仕組み
DNTはHTTP ヘッダの一種です。DNT の設定が有効になっている場合、ブラウザは(Web ページ、画像、ウィジェット、その他各種パーツの読み込みなど)すべてのトランザクションにおいて「DNT: 1」という文字列をHTTP ヘッダに含めて送信します。
DNTにサーバー側が対応するには
DNTはクライアントのブラウザからDNT:1というHTTPリクエストヘッダーのが送信されるため、サーバー側でHTTPリクエストヘッダーを読み込みDNTヘッダーがあって値が1の場合はトラッキング処理をSKIPする、それ以外の場合はトラッキング処理を続行するという実装になります。RFCのドラフトではHTTPレスポンスにDNTヘッダーを返却することが推奨されています。
DoNotTrackとオプトアウトの違い
オプトアウト
最近JR東日本のSUICAや、TUTAYAのTポイント、Twitterの広告追跡防止で話題になっているワードである「オプトアウト」。オプトアウトは上記の例のように、一度ユーザーがそのサービスを利用した後、そのユーザーが「私のサービス利用履歴を追跡するのをやめて」とサービス提供側に伝える機能です。
ユーザーは利用しているサービスそれぞれに「私のサービス利用履歴を追跡するのをやめて!」と伝える必要があります。
ユーザー(オーディエンス)がサイトAとサイトBのオプトアウトを実行する場合の図が以下になります。
オーディエンスはトラキングを行っているサイトそれぞれにオプトアウトを実行する必要があり、煩雑な作業が必要になります。
DNT
DNTは、クライアントソフト(ブラウザ)からサーバーにサイト訪問時に 「私のサービス利用履歴を追跡するのをやめて!」とすべてのサイトに伝える機能です。ユーザーは利用しているサービスそれぞれに「私のサービス利用履歴を追跡するのをやめて!」と伝える必要がありません。
ユーザー(オーディエンス)がDNTを利用してサイトAとサイトBのトラッキング拒否を実行する場合の図が以下になります。
ユーザーは一度ブラウザのDNT機能をONにするだけで、Cookieによるトラッキングを拒否することができます。
各種ブラウザのDNT対応状況(ブラウザは2014年11月04日時点の最新版で調査)
各種ブラウザでのDNT設定箇所
IE
アドオンの管理から行うマイクロソフトが公式に出してる トラッキング防止サイトリスト http://www.iegallery.com/ja-jp/trackingprotectionlists
FireFox
Chrome
「Google Chrome 23」の安定版リリース 「Do Not Track」をサポート
Mac OSX Safari
Android Chrome
設定→ プライバシー → トラッキング拒否 で設定可能iOS Safari
設定→Safari→プライバシーとセキュリティDNTの現状
便利なDNTですが、現状DNTに対応しているサイトはほとんどありません。現状、トラッキングを行っている業者はオプトアウトの機能をそれぞれのサービスに用意し、ユーザーのトラッキング防止の希望に対応しています。
自サイトがDNTに対応しているのなら「このサイトはDNTに対応しています」と表明したほうがオーディエンス(ユーザー)にとってもわかりやすいですし、そのサイトがちゃんとプライバシーに配慮しているとアピールできるのですがそのような表明をしているサイトも皆無です。
DNTを強制する法律がまだないため、現状はDoNotTrackはクライアント(ブラウザ)だけ対応が進み、サーバー側が対応が進んでいません。
つまり、現状はブラウザのDNTをONにしてもOFFにしてもトラッキングの挙動はほとんどのサイトで変わらないのが実情です。
DNTが意味のある機能になるためには法で強制するか、 インターネット広告推進協議会のような団体でポリシーを決めて業界全体で一斉にやる必要がありそうです。
外部資料
DoNotTrackの概念、実装についてはFirefoxの「DoNotTrack実装ガイド」(PDF)の資料が詳細にまとめています(日本語訳もされています)。特にアドテクエンジニアの方はP11~P12の広告会社のケースが参考になると思います。
Do Not Track に関するよくある質問 (FAQ)