2022.07.06

DAO(Decentralized Autonomous Organization)

こんにちは。次世代システム研究室のL.W.です。

DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)はブロックチェーン上で成立する組織の新しい形であり、特定のリーダーを設けずに意思決定を実現できる技術であります。

Web3やNFTへの関心の高まりが加速する今年でも、より大きな注目を集めています。

特に最近、DAOに関わるニュースをよく目にすることが感じていないでしょうか。

岩手県紫波町は、「DAOを通して、当町のビジョンや取組みに共感し、豊かな地域資源に愛着を持ってくれる多様な人材が地域を超えて結び付き、地域課題の解決や持続可能なまちづくりへの可能性がさらに広がることを期待しています」と言う目指しにDAOの設立に取り組んでいます。

将来あらゆる形態の組織、企業、ないし政府に取って代わるとはただの妄想か。

DAOは一体どんな仕組みか、どのようにガバナンスを行うか、どのような使途があるか、疑問が沸き上がりましょうか。

今回は、Zoomでのトークイベントにて紹介した「DAO(Decentralized Autonomous Organizati)」を、時間の都合上お話できなかった部分の補足などを交えて取り上げたいと思います。

DAOとDAOの実践の話を共有させて頂ければと思います。

 

1.「DAO(Decentralized Autonomous Organizati)」の発表資料


2.デモの説明

前回ではOpenseaAdamと異なる完全な分散型NFTマーケットプレイスを作ってみました。

ユーザ向けのMint(NFTの作成)、定額販売、オークション販売、即時購入、入札などの機能はコントラクトに書き込まれることで、誰にもパブリック的に、パーミションレス的にアクセスできるし、誰でも取引を阻止またはデータ改竄ができないです。

マーケットプレイスの収益は運営側または開発側の手に渡され、利用者は享受できないですね。

そして、運営側または開発側は上場手数料の変更、マーケットプレイスでのNFTの審査などを勝手に行えます。

完全な分散型NFTマーケットプレイスとはいえ、ガバナンスは中央集権型となってしまいました。

では、このデモではマーケットプレイスのガバナンスをDAOに移管してみました。

以下のデモのスクリーンショットでは、青字のは既存のマーケットプレイス機能となり、赤字のは新規に追加されたDAOの機能となります。

 

2.1 DAOの三つのコアコンポーネント

DAOが成り立つためには少なくとも三つのコンポーネントが欠かせないと思います。

① メンバーとコミュニケーション

ユーザー、開発者、貢献者、ファンなどの人々はDiscord、Telegram、フォーラムなどの場で合意結成、価値共有します。

コミュニケーションはオフチェーンですが、極めて重要でしょう。

② DAPP

スマートコントラクトベースのプロダクトまたはミッションのことです。資金を獲得できる商品または寄付やチャリティーなどの呼び掛けのアプリケーションです。

DAPPの成功の果実を確実に享受できるので、ユーザー、開発者、貢献者、ファンを一体になって、取り組めます。

デモでは自作のNFTマーケットプレイス をターゲットのDappとします。

③ コントラクト

透明的、民主的にガバナンスを行えるためには、ガバナンスルール、ガバナンストークンの配布、資金管理はきちんとスマートコントラクトに組み込まれています。

2.2 ガバナンストークンの配布

通常、ガバナンストークン(DAO token)の配布には、トークン販売、クラウファンディング、エアードロップ、または投資者、開発者、貢献者へ贈与の方法があります。

デモではガバナンストークンの配布にはマーケットプレイスに関わる全ての方々にミントさせます。NFTの売り手、買い手へ何枚ガバナンストークンを送るか、開発者により初期化されて、後でDAOにまかせました。

そして、開発者、貢献者、コミュニティへのガバナンストークンの配布をDAOに任せています。

マーケットプレイスの「NFT作成と販売」、「My NFTSs(保有のNFT」を通して、NFT上場させる場合、ガバナンストークンが配られます。これは一例です。

マーケットプレイスの「NFT市場」を通して、購入、即時購入、または落札購入する場合、ガバナンストークンも配られます。これは一例です。

2.3 ガバナンスルール

提案権利と投票権利のあるガバナンストークン、可決された提案を入れるTimelockキューを指定されています。

提案権利を行使するための条件、提案を可決させるための条件、提案の投票開始時間と投票期間を決められています。

どの機能を既にDAOに任せるかもきちんと公開されています。




2.4 提案

「DAO rule」でのDAOに移管済み機能の変更に提案するのが可能です。そして、「Propose(提案する)」を通して、一つの提案の中、複数機能変更を含めます。

Marketplaceの上場手数料の変更の提案を一例として、挙げます。

 

上場手数料を0.01ETHから0.03ETHまで上げるという提案をします。

出された提案は「Proposal List(提案一覧)」に表示されます。最初のステートは「Pending」となります。

Pending期間はDAOによって、異なりますが、ガバナンストークンの調達に時間を稼げる目的です。

2.5 投票

提案の開始時期前には、ガバナンストークンのホルダーはトークンのdelegate(デリゲート)を実施する必要があります。誰かに自分を代表して投票させることです。

一人の提案者は提案権利の条件に満たさない場合、他のガバナンストークンのホルダーはこの提案者にデリゲートすることで、提案権利の条件をクリアさせることにも役立ちます。

 

デリゲートします。

ユーザー1が該当提案に投票します。

該当提案を可決させるためには、ユーザー2も投票します。

2.6 実行

提案が可決されると、ステートは「Succeeded」となり、キューに入れます。


Timelockのキューでロック時間を過ぎたら、実行に移せます。ロック期間中には、問題があれば、Emergency Cancelerというロールで緊急キャンセルを行えます。

ただ、Emergency Cancelerというロールは中央集権型とよく言われますが、どのように設計したらいいか研究が進んでいますね。

DAOによって、設計が異なります。Emergency Cancelerを設けなく、ロック期間中、提案者の提案条件に満たさなくなったら、誰でもキャンセルを行える設計もあります。

実行されました。

提案の通りに、マーケットプレイスに反映しました。

 

3.まとめ

このデモを通して、大底、とてつもない資金の取り扱っている大手Dapp(DEXのUniswap、レンディングプラットフォームのComponseなど)のガバナンスの流れを可視化させると思います。

DAOのおかげで、貢献度に応じたインセンティブが可能となり、所有と経営の原則一致を実現することで、ステークホルダーの英知の結集だけではなく、プロダクトへの愛着のファンも作れます。

もちろん、今のDAOは完璧ではないです。法的課題、効率の悪さ、ガバナンス設計ミス、コントラクトの不具合などがよく指摘されていますが、DAOが進化していきます。

謹んでDAOの波に乗りましょうか。

 

4.最後に

次世代システム研究室では、グループ全体のインテグレーションを支援してくれるアーキテクトを募集しています。アプリケーション開発者の方、次世代システム研究室にご興味を持って頂ける方がいらっしゃいましたら、ぜひ募集職種一覧からご応募をお願いします。

皆さんのご応募をお待ちしています。

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